第41回 ~体制づくりにも人情込めて~

こんにちは、筧です。私には10年近く会社を支え続けてくれた片腕のような部下がいました。部下と言っても、その人の歳は私の父親ほど、前職の一流商社では初の海外支局長に抜擢されるなど、第一線で活躍され、定年を過ぎてから後進育成の為に新たな勤め先を探しているところでした。その当時、弊社の経理部では、商業高校出身の若手スタッフが頑張っていましたが、なにぶん実務経験が乏しいために税務上の処理に不備があるなどして、とにかく実務のしっかり出来る人材を指導者として迎え入れたいと考えていました。

そんななかで、巡り合ったのが先のAさんでした。経理部長となったAさんは、穴のあった処理を丁寧にたどっては繕い、スタッフ達に教えることを惜しまず、社内の大きな仕組み作りに貢献してくれました。彼が偉大だったのは、組織が円滑に回るようルールの統一や仕組み化を進めるなかでも、決して人の気持ちをないがしろににはしなかったところです。スタッフをただの歯車にしてしまわない、人間らしい心の入った仕組みになるように配慮を重ねながら、体制を整えていきました。

そんな彼の人柄が分かるエピソードがあります。ある時、内職作業の斡旋会社から、スタッフに工賃を払う段階になって、諸経費や手数料で数百円差し引く分があったと連絡がきました。先方担当者から、工賃からその分を差し引いて支払い処理をしてほしいと事務的に言われ、Aさんは顔を真っ赤にしてすごい剣幕で怒鳴りました。「そんな大事な事を、どうして先に言わないんだ!アンタ達にとっては、たかが数百円かもしれないが、内職スタッフは1円2円の仕事でも軽んじずにコツコツ必死にやっているんだぞ。その子たちからそれだけの金をとるという意味が、アンタには分かるか?」翌日、出すぎたことをしたと言って、私のところに辞表を持ってきた彼。

秩序と人情を重んじる昭和の武士のような男でした。私自身も、彼には山ほどたしなめられ、社長と言う看板がどういうものか、組織とは何かと、その度に教えてもらいました。業績が良いときも悪いときも、控えめながら絶対にブレない重鎮でした。Aさんが亡くなった時、奥様に「うちの会社に来て頂いたばっかりに、Aさんにはいろいろ苦労をかけました。本当に申し訳ない。」と詫びると、「主人は、家でも仕事の話をしては、楽しいと言っていました。いつも、こんな面白い会社はないって。」・・・生前Aさん本人にも「ちゃらんぽらんだが、いい会社だ。腹がよじれるくらい笑えそうだから、ここにしようと思ったけど、社長、この会社は最高ですね」と言われました。これからも、亡き彼に最高!と笑ってもらえる、活きがよく味のある会社であれば、というのも、私にとっての会社経営の1つの指針です。

H24.2.10

このページの先頭へ

株式会社リバースは愛知県稲沢市から人材派遣・人材紹介などあらゆるサービスを全国にご提供しています。