第38回 ~思いがあっても上手くいかない時~

こんにちは、筧です。10年ほど前、自社で新しいサービスに参入しようとして、失敗したことがありました。なにかと言うと「代行運転」のサービスです。隣県静岡で同サービスを始めていた会社へ研修を受けに行き、愛知県下では第一号で認可を取得しました。きっかけは、自社のスタッフが参加する接待や飲み会を懸念してのことでした。深夜まで公共交通機関が整備された街中と違って、郊外のベットタウンである地元稲沢では、どうしても移動の足として自家用車が頼りになってきます。

今でこそ無料送迎を行う飲食店が増え、利用者側も前もって飲まない参加者に協力をあおいだり、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」の飲酒運転を防ぐ対策がしっかり取られるようになりました。しかし、当時は2007年の道路交通法の改正前。残念ながら今ほど厳密ではありませんでした。酔いをさましてから帰る、という人も多かった。とはいえ、アルコールが残っていないかを自己判断するのは危ういので、そういうグレーゾーンにならない環境整備が広くてできないものかと考えたのでした。

潜在ニーズはあると思いました。利益率がどの程度になるかは未知数でしたが、社会に貢献できるサービスの提供、ということに意味があると立ち上げたプロジェクトでした。その思いに賛同し、代行運転が知られるきっかけ作りになればと、無料で広告掲載に協力してくれる媒体も複数ありました。しかしながら、一向に利用者は増えませんでした。自分の車を他人に預けることに抵抗があったり飲食費に加えて代行運転まで頼んだら余計に出費がかさむと理解が広がらなかったのです。タクシー運転手からは、「仕事の横取りをするな。営業妨害だ!」と嫌がらせを受けたこともありました。なんとか続けたいと粘りましたが、待機スタッフの基本給を保証し続けるには採算が合わず、悔いを残しながら撤退を余儀なくされました。5年早かった、と感じました。

今は安心・安全も買う時代、買わなければ得られないという意識の人が増えてきました。考えてみれば、ミネラルウォーターを買って飲む、という文化も日本ではここ十数年のことで、かつては蛇口をひねればタダでも飲めるものをわざわざ高いお金を出して買うなんて、と欧米での習慣に違和感を感じたものです。飲食店ではノンアルコールビールもあるのが当たり前になりました。飲食メーカーがこぞって新製品開発を行うようになったのもここ数年。代行運転もようやく少し認知されるようになりました。時代のニーズに合わなければ、理念があっても経営に乗せられない時代があります。10歩先、5歩先を見通しながら、3歩先くらいのタイミングで仕掛ける、軌道修正する。その嗅覚が経営者には必要なのです。

H24.1.20

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