第32回 ~2つの心を乗せた饅頭作り~

こんにちは、筧です。前回、自分の仕事の役割と価値を考えるということを書きました。今回も引き続き「プロ意識」についてです。私には、地元稲沢で御用達にしている和菓子屋さんがあります。そこのお店は、ふわふわの羽二重に、丹羽大納言の粒餡を包んだ「羽二重餅」が看板商品で、全国ネットのテレビで紹介されてからは、その味に魅せられたファンで賑わい行列の絶えない店となりました。

予約もできますが、当日販売の分は、早朝から受ける店頭予約ですぐに完売してしまうため、地元の人間でも並ばないと買えないぐらいです。先日、お客さんへの手土産として買いにいった際に、店の若旦那と少しお話しする機会がありました。若旦那が「いつもご贔屓にして頂き有難うございます。社長は色々なところにご用があって大変ですね。でも、その度にうちの饅頭を使って下さるから有難いです。」と言われました。それを受けて「とんでもないですよ。ここの饅頭は、若旦那が魂を入れて作っていて、本物だと思うから使わせて頂いているんです。これをお使い物にすることで、真心の込もった挨拶となるから持っていくので、私の方こそ感謝しているんですよ。」と私は言いました。

人気店となり買い求めるお客さんが増えると、一部の工程を機械化して大量生産をしたり、素材や味を落として利益に走るお店もあります。そういった流れに流されることなく、頑固に昔からの製法と味を守り続け、その中で作業効率を上げて、いかにたくさんのお客さんに提供するか、というギリギリのラインを試行錯誤してきた老舗。その姿を見てきたので、地元の銘菓として恥ずかしくない本物の味と本物の職人の心を乗せた「羽二重餅」だと、自信を持って人に差し上げられると思っていました。

謙虚な若旦那は「私らは、そんな大層なことは出来ません。ただ作るので精一杯です。外に出ていくこともないし、毎日店のなかで一生懸命作ることしかできない。けれど、そうやって作った饅頭が喜んでもらえたり、私らの思いや使って下さるお客さんの思いも乗せて人から人へ渡っていくと思うと一層頑張らんといかんな、って思いますね。これからも、お客さんの気持ちに添えてもらえる饅頭を作り続けます。」と嬉しそうに笑顔で言ってくれました。

しっかりした腕(技術)を持っていても、利益追求の中で魂を売ってしまっては、本物を作り続けることは出来ません。もの作りや商いは常にその2つの両立を求められます。私たちも自分の持ち場においてプロフェッショナルであるために、曲げてはいけない信念や志と、基本を疎かにしない確かな技術を持って、本物の仕事を心掛けたいものです。

H23.12.9

このページの先頭へ

株式会社リバースは愛知県稲沢市から人材派遣・人材紹介などあらゆるサービスを全国にご提供しています。