第29回 ~苦楽を共有してくれる友~

こんにちは、筧です。私が所属する私塾では、経営学を座学・体学の双方から幅広く学ぶ以外に、課外活動の行事があり、その1つとして同期同一で行なう舞台発表があります。私も入塾して2年目の年、塾主と先輩・後輩塾生およそ1,000人を前にしての発表を迎えることとなりました。

同期メンバー15人で決めた演目は「和太鼓演奏」です。若手経営者らしく熱く勇ましい思いを全身で伝えようと考えたのでした。それからというもの、練習日を決めては集まり、何度も繰り返し練習しました。でも、リズム感のない私は、トトトンと早く打つところでどうしても他のメンバーに遅れてしまい、うまく揃うことが出来ません。

発表の日がどんどん近づいてきます。焦る思いとは裏腹に、社長業をこなしながらの日々はあっという間でした。全体練習だけではなかなか上達しないので、ダンボール箱に毛布を巻いたお手製の太鼓を置いて、会社倉庫で個人練習に励みました。朝早く出社して練習。昼ご飯を食べる間を惜しんで練習。でも自分一人での演奏では、これで正しいのかどうなのか手応えがわかりません。悩みながらも続けていると、私が自主練習をしていることを聞きつけた同期メンバーが立ち替わり入れ替わり様子を見に来ては、練習に付き合ってくれるようになりました。

みんな自分の事業があって忙しいなか、合間を縫っては一緒に隣で叩いて、合わせ方を教えてくれたのです。本番の発表で、無心で叩き、最後に「ヤア!」と皆で掛け声を掛けてポーズを決めた瞬間、会場の拍手に包まれ、やり切ったという達成感と同期のメンバーとの一体感を感じて、すごく感動しました。その時に思い出したのが、ファミリーレストランで見かけた野球少年のことです。ある時、私が食事をしていると、試合帰りでしょうか、野球部らしき中学生の一団が入ってきて、ステーキセットを注文しました。

熱々の大きな鉄板が次々と運ばれていくのを眺めながら、「さすが食べ盛りだなぁ。」と思っていると、グループのなかに一人、片腕のない少年がいることに気付きました。少年達がフォークとナイフで肉を切り分け始めるなか、彼はどうやって食べるのだろう?と見守っているとキャプテンらしい別の少年がナイフの手を止め、ステーキにフォークを付きさして持ち上げるとガブッとかぶり付いてから、片腕のない少年の方を見てニコッとしました。

少年はハッとすると、すごく嬉しそうな顔をして使える方の腕を動かし同じようにかぶりついて見せました。周りの少年たちも全員真似をして、フォーク1本での食事が始まりました。苦楽は共に、仲間は孤独にさせない、という友情は一生の宝だと思う出来事でした。

H23.11.11

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