第25回 ~肝の据わった経営者の一言~

こんにちは、筧です。従業員を雇い、会社経営をしていると、様々な危機が訪れることがあります。三年ほどまえのことでした。弊社のスタッフが配送業務の代行運転の最中に、不注意から事故を起こしてしまいました。本人は幸い無傷で済んだものの、代行で運転していたトラックは全損、載せていた積荷も駄目になり、納入先に届けられないという大変な事態になりました。

仕事の発注元は、うちの大口の取引先です。それだけの重大な過失があれば、間違いなく取引は即停止だろうと思いました。さらに、代行で使っていたトラックの弁償と積荷の損失補償を考えると途方もない額になります。リーマンショックの影響で、ただでさえ業績の悪い時期だったので、大口の取引を失い、しかも補償も今後残ると考えたとき、もうこれで終わりかもしれないと、会社が立ち行かなくなることも覚悟しました。

相手先の社長は、先代から引き継いだ会社を兄弟で支え合い、絶妙な連携で盛り立てて年商100億の会社にまで大きくした人で、所属する異業種交流会でも親しくしていたAさんです。公私共に日頃からお世話になっていた彼に、大きな損失を出させてしまい、迷惑を掛けたことが本当に申し訳なく、男としても恥ずかしくて堪りませんでした。会社をまわしていくその過程で起きたことは、従業員の過失でも最終的にその全責任を負うのが組織のトップである経営者の仕事です。

許されることではないので、とにかく誠心誠意できるだけの償いをさせてもらうほかないと腹をくくり、Aさんに謝罪に行きました。頭を下げて謝るしかない私に、Aさんが掛けた言葉は、「起きてしまったことはもういいから、これからはしっかりやってくれ。頼むね」という一言でした。変わらぬ取引を、という言葉は、弊社にとって挽回のチャンスを与えられた千載一遇のものでしたが、それだけでなく経営者としてなんて重い決断をと責任を背負った一言だろうと思いました。感情的になることもなく、責めることもせず、口を開いたAさん。

Aさんの立場であったら、果たして自分は同じことが言えたか?あそこまで腹をくくれていたか?と自省しました。今後、Aさん兄弟の会社の躍進に貢献できる仕事ぶりをして、あのときの厚意を少しずつ返していければと思います。弊社では「共に生きよう 伝えよう 厳しさと 優しさを」という経営理念を掲げていますが、そこからブレないように人の成長を見守るためには、どれだけの気構えでやらなければならないか、人を信じて許すということはどういうことなのか、身をもって教わった経営者の姿でした。

                                                                            H23.9.29

このページの先頭へ

株式会社リバースは愛知県稲沢市から人材派遣・人材紹介などあらゆるサービスを全国にご提供しています。