第18回 ~こんな時代だからこそ~

こんにちは、筧です。一度、路上生活を経験したホームレスの社会復帰は、本当に小さな一歩一歩の積み重ねです。本人の努力と、それに関わる企業や活動団体の協力、そして行政の理解や歩み寄りがなくては、なかなかなし得ることは出来ません。

就職支援として企業が雇い入れるにしても、本人が挫折しないで働き続けられる仕組みになっているかどうかで同じ支援でも結果は違ってくると思うのです。例えば、給料の支払い1つをとってもそうです。蓄えがないにもかかわらず、最初から月給制でひと月後にしか給料が入らなければ、生活が立ち行かないので、働く意欲があったとしても就業のハードルが高くなってしまいます。しかし、反対に毎回日払いのままにしていては、本人の意志が弱くなった時にいつでも辞められるため、もう少しだけ諦めずに続けて頑張ろうという抑止力になりません。

弊社では、入社して1ヶ月は日払い、その後2ヶ月は週払い、そして4ヶ月目からは月払い(月給制)にといった形で、段階的に長期就業の形に変えていく給与形態を取っていました。また本人の目標を聞きならが、給与の一部を積み立てたりもしました。色々やっていく中で、本人の意欲に任せるだけでなく、彼らを取り巻く私たちもまた、その意欲に寄り添うように、一緒に伴走することが必要だと感じています。

年月はかかりましたが、行政も根気よく相談に乗って、対応を考えてくれました。保険証を再び手にしたスタッフは、身分証を得たことで、預金口座を作りました。もしもの時の備えとして、自分の口座に貯金が出来るようになったのです。また、携帯電話を契約できるようになって、周囲とのコミュニケーションの幅が広がりました。そこに到る道のりは長かったですが、彼は人並みの自由をようやく手に入れたのです。それによって彼の表情も一層明るくなったのが変化として見て取れました。

景気の低迷・震災・原発事故を受けて日本も厳しい経済状況が続いています。失業やリストラ、会社の倒産といった岐路に、いつ誰が立たされるとも分かりません。ですが、「ホームレス狩り」のようにいわれのない暴行事件が起きたり、生活に瀕している彼らにつけ込んでなおも利用しようとする者がいたり、あるいは無関心であったりと、ホームレスとなった人々は、差別や偏見、悪意に晒されているのが現実です。

こんな時代だからこそ、1人ひとりの人としての尊厳が尊重される真心が私たち日本人の心の中にあって欲しい。私たちの会社が、もう一度前を向いて人生をやり直せる、そういう明るい希望と受け皿を持つものであって欲しいと切に願います。

                                          H23.8.4

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